山下ふみこオフィシャルブログ

2016.11.16

災害時のトイレ・し尿処理研修会

2013年7月の国連総会で11/19を「世界トイレの日」と決めた。主催は静岡県環境整備事業協同組合で今回で4回目の世界トイレの日事業の講演会である。
静岡県及び県内35市町のし尿処理・下水処理・防災・医療の行政担当者や議員、自主防災関係者、し尿収集運搬等の業界関係者が多数参加。
トイレの問題は災害時に、食物と一体化した最重要な問題でありながら、ほとんどその問題が表面化することがなかったこともあり、ただ漠然とした危機案を抱いていただけだった。
しかし、今回の研修会に参加して、内閣府がすでにこの問題を取り上げ、ガイドライン策定に至っていたことや、災害地のトイレ事情を知ることで、その劣悪な環境が命に直結していることや災害弱者にとってその環境は言葉に言い尽くせないほどの劣悪な日々であることを改めて認識した。
また、水洗トイレが使えない状況の中で、浄化槽トイレはほとんど使えていたことを知る。
防災トイレ計画作りと日頃の実施訓練の緊急性を感じる貴重な研修会であった。

来賓:全国環境整備事業協同組合連合会 玉川福和会長
未だ世界人口の1/3以上にあたる25億人がトイレを使えていない、劣悪な衛生状況であり、多くの人命が失われている。日本のトイレ環境やし尿処理システムは世界が羨むほどの整備がされている。しかし、災害時は水洗トイレが使えない状況から、避難所は浄化槽にしておくことが災害に強いトイレとして生かされる。災害地でも96%の浄化槽が使えていたという。
主催者:静岡県環境整備事業協同組合  鈴木雪春理事長 片淵典利副理事長

田村圭子教授(新潟大学危機管理室・災害復興科学センター):避難所におけるトイレ・し尿処理は、被災者の命に係わる根幹である。東日本大震災で問題となり、2016年3月に、この教訓を受けて、内閣府が「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」が作成され、その座長である。
避難所運営業務のための連携共同体制において、対策本部や運営本部が配置されているが、トイレの主になる担当者がいない。日常から部局を超えてトイレのことも一緒に考える体制が必要であるにもかかわらず、その連携ができていない。

「避難所におけるトイレ確保・管理ガイドライン」平成28年4月
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1605hinanjo_toilet_guideline.pdf
「避難所運営ガイドライン」平成28年4月
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1605hinanjo_guideline.pdf

菅原えりさ教授(東京医療保健大学大学院医療保健学研究科):自然災害を多く経験する時代になった。感染症は災害が起きれば当然蔓延する。発災当初の避難所のトイレ環境の劣悪さは感染経路の元である。しかし、水道管も下水道管も断絶され、水洗トイレ機能が停止している中で、水もなくどうやって病原菌の感染を防げることができるのか。
感染対策の基本・4つの対処方法「手指衛生・環境整備・感染兆候の把握・隔離体制の整備」
避難所生活の根幹となるのは食事と環境衛生(トイレ)であり、最重要課題は感染制御。しかし、今まで重要課題として取り組まれてきただろうか。

加藤篤代表理事(NPO法人日本トイレ研究所)
「トイレの確保は、命を守ることであり、尊厳を守ることである」
災害時のトイレ対策は、命を守り健康を確保することに直結する課題である。災害時に、安心できるトイレ環境の確保が必要であり、日頃の実践的な取り組みと防災トイレ計画づくりと市民も含めた実施体制づくりは不可欠である。




発災ライフラインの停止でトイレ環境の悪化が感染源に。また、トイレに行かない状況が、飲まない、食べないことによる体力や免疫力の低下で、合併症・後遺症で震災関連死につながる。
トイレ対策のポイント
1・トイレ対策の司令塔を明確にする
2・災害用トイレの分類名称を統一する
3・複数の災害用トイレで備える(量と質)
4・災害用トイレの運用方法を作成する
5・災害用トイレの使用ルールを共有する

市内の浄化槽の適正管理について(平成24年度末)
浄化槽設置基数: 合併処理浄化槽6,358基、単独処理浄化槽15,093基
集中浄化槽  :501人以上の合併処理浄化槽6基(排水量50㎥/日量以上)
保守点検・清掃及び法廷検査の義務(浄化槽法):法廷検査4.51% 清掃62.6% 保守点検87.6%

下水道の供用区域外の市施設105施設について
●汲み取り便槽設置 32基/2施設、●単独処理浄化槽 64基/56施設 ●合併処理浄化槽8基/7施設

浄化槽法の改正
平成12年度:下水道計画区域外の単独処理浄化槽は合併処理浄化槽にすることが義務付けられている。
平成17年度:法廷検査を受けない悪質な浄化槽管理者には30万円の過料
平成18年度:県から浄化槽の管理について権限移譲
       浄化槽法上では合併処理浄化槽の義務付けはあるが、罰則はない。

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