認知症当事者たちが声を上げています。そうすることが少しずつ認知症に対する私たちの認識が変わっていき、社会を変えていく力になってきています。
認知症の方だろうが、障がいの人であろうが、誰もが嫌なことは嫌と言えること、おかしいと思うことはおかしいと言える社会であること。
自分はこうしたいんだと希望が語れること、というのは本来普通にあるべきことなはず。そういう社会を目指していくことが、誰もが安心して暮らしていくことであるのに、いったん認知症になってしまうと社会から隔離され、家族も本当のことが言えないので、ますます孤立してしまうことになる。
そこで、そのことについて社会全体で取り組んでいくには、まずは当事者の声から学ぶというフォーラムが開かれます。
介護民俗学を提唱し、実践しているNPO法人ユートピアの六車さんたちの主催でこのフォーラムが開催されます。
医療やケアに対して、当事者の立場から発言している樋口直美さんの力を借りて、今回このようなフォーラムを開催。
富士宮市役所職員の稲垣康次さんは、認知症当事者の人たちとともに地域住民を巻き込んで、認知症になっ
ても安心して暮らせるまちづくりをしていく、世界的に有名な「富士宮モデル」の仕掛け人。
この方は、ものすごく発想が豊かで、しかも柔軟で行動力がある方だそうで、、厚労省の認知症対策に関わることになったときに、認知症サポーター養成講座のテキストは本当に認知症の人になっても安心して暮らしていける社会を作るに適しているのかどうか、そんな素直な疑問から出発して富士宮モデルを作り上げた稲垣さんの話は絶対に沼津市にとって是非参考にしてほしい。
精神科医の上野秀樹さんは、精神病院内での認知症治療に疑問を持って、むしろ自らが外に出ていき、地域での認知症ケアに関わっていく認知症精神科訪問診療を始めた方で、認知症ケアには、医療には限界があるが、介護や地域での支え合いにこそ可能性があると提言しています。医者でありながら、このように医療の限界を自覚している方はやはり稀有だと思う。
この三名の方のお話しは、きっと私たちの地域をよりよいものにしていくための手がかりをたくさんくれるのではないでしょうか。