山下ふみこオフィシャルブログ
2019.08.29
香川県・豊島の産廃不法投棄in高松研修NO2
豊島の住民運動は、『お金ほしさでしょ』と非難されたこともあった。県は住民の運動が怖かった。『あいつらは、違法行為はしないものの、何をしでかすかわからん』と。住民運動への世論の支持の広がりは県にプレッシャーになった。
2000年、調停が成立し、知事が住民の前で謝罪しました。
廃棄物は、隣の直島に運ばれ、無害化処理されることになった。
豊島の事件の教訓
できるはずがないと誰しも思うことに対して、我を捨てて必死になっている姿に、多くの人が声援を送ってくれた。そのことが、不可能を可能に変えてしまった。
●豊島事件は、日本が循環型社会を目指すきっかけとなり、自動車リサイクル法が成立するなど環境政策の面では教訓は生かされた
●「人々よ、当事者たれ』ということ。行政はシステムでしかない。ミスをしても責任を持たない。一人一人が結果に責任を持ち、立ち上がるしかないということ。
石井さんは、「便益を受けるものと、リスクを負うものが分離してはいけない。分離すればするほど、加害者は当事者意識を失い、構造的な暴力となって被害者に襲いかかる。豊島に捨てられた廃棄物の中で最も多かったのは自動車の破砕くず。それをつくるのは、自動車企業。そして、自動車に乗っていた人たちは、豊島の住民の苦しみを知らない。
無関心こそ、最大の暴力になりうる。福島原発の事故も同じ構造で、私たち一人一人が原発を黙認した結果だと思う。」
2000年6月3日、25年にわたって争ってきた県と、事実上の合意が成立する。
2017年3月、処理対象廃棄物、汚染土壌91万トン余、総事業費800億円。ゴミは撤去されたが、さらには、地下水浄化作業はまだ途上にある。史上最大の原状回復事業はまだ終わっていない。
中防弁護士が口にする「喧嘩の終わり方」
「どんなに勝っても、最後の最後で相手を向こうへ押し倒してはならない。前へ引き倒すのだ。負けても感謝できる終わり方でなければならない。そうしないと、どんな内容の喧嘩であろうとも怨念が残ってしまう」
最後に:
豊島の産廃現場に立って、当事者の石井さんの話を聞いて、公権力と闘うには、なまじの覚悟では闘えない。また、闘うべき相手は自分自身でもある。闘争に25年間、当初の参加した住民549人のうち、既に死亡した方が334人。そしてその処理が今も続いている。現場に立って、初めてその壮絶な住民運動の歴史が理解出来ると思った。しかし、時代とともにその闘い方も変わらざる得ない時代が来ているのかもしれない。