山下ふみこオフィシャルブログ
2020.01.19
第4回おとなの寺子屋 by 六車由美
第4回おとなの寺子屋は、「つながりたい!生きていると思える居場所づくり」
講師の六車由美さんは、沼津市のディサービス「すまいるほーむ」の管理者で「驚きの介護民俗学」で日本医学ジャーナリスト協会大賞を受賞している。県知事も此処を訪問しているように、利用者さんの生きてきた人生を尊重する介護支援の取り組みをしている。その取り組みと彼女の提唱している「すまいるかるた」づくりのワークショップを兼ねた有意義な講演となった。
まず驚いたのは、「すまいるほーむ」では、仲間が亡くなったときは、お別れ会を開き、みんなでその人の思い出を語り、かるたにして弔い、悲しみや辛さを共有し合うという。そして、亡くなった仲間の存在を心に刻む。
いつか誰にも訪れる死を、決してクローズにしない。本来その行為は、介護施設においてはタブーなものであるはずだが・・・・
此処ではそうやって「すまいるほーむ」のご先祖様になって見守ってくれる存在になるという考え方である。
精神科医療で注目されている「オープンダイアロ―グ」
本人、家族や医師、看護師などの専門家が平等な立場で対話をすること。その効果は、何でも語り合える雰囲気で対話を進めると関係性が良くなり、その関係性が症状を改善していくという。
(このダイアログという手法は、行政や政治にも取り入れられている。)
・開かれた対話(聞き書き)の積み重ねによって、「すまいるほーむ」の日常に対話の場が生まれ、利用者にとってもスタッフにとっても心地よい場所に変化するという。
心地よさとは? ・人と人とのつながりがあり、互いが互いを尊重しあえているということ
よく六車さんに言われることは、「介護等の支援策が事業や制度として決まる前に、必ずその支援を受ける側の本人抜きに本人のことを決めないで!」という。
いくら認知症の方でも、どうしてほしいのか、どうすればいいのか、まずはその当事者たちに聞いてほしいという。
往々にして、その新規事業や制度等を決める時に、協議会や審議会で何度も話し合われるが、その時のメンバーは有識者(大学の先生等)や専門職、そして一般の人というように、その支援を受けるための当事者はその話し合いの場にはいない。せっかくの支援策も、本来の当事者支援策に繋がっていないというケースはよくある。
六車さんは、医療現場や介護現場、行政の現場、地域の居場所にオープンな対話ができることが、つながりの回復であり、それがお互いにとっても、開かれた、健全なストレスの少ない環境をつくっていくという。
現代の孤立した社会にとって、つながりを求めることは大変難しい状況だが、そのつながりや居場所がないことで不安や孤独を感じる人たちが多くなっているのも事実である。
だからこそ、お互いの関係性を築くための方法として、「すまいるかるた」によって、みんなが対話することによって一つの「かるた」を一緒に作るという共同作業があるのだと思う。
今回はそのワークショップは、5,6人のグループごとに対話をしながら、共感をしたり、質問をしたりすることによって、「かるた」を完成させていく様子は、どのグループも楽しそうでとても賑やかなワークショップでした。