山下ふみこオフィシャルブログ

2021.04.24

香貫山の道路崩落からその後

夕方山に登ると、香陵台公園から西廻りで頂上に向かう道に「工事の看板」が掲げられて、4/26~7/26まで通行止めになるという。昨年7月に起きた崩落個所がやっと工事をすることになった。
ちょうどその時出会った女性から、「ずっと身近な山であったにもかかわらず、山に登ろうとしなかったが、桜の時期から此処に登るようになって、新緑の木々の清々しさや景色の美しさに友人をこの週末に連れてきたいの」っと目を輝かせて私に話しかけてくださった。

そうなの、この山は不思議な力を持っている。四季折々の変化はもちろんのこと、一緒に悲しんでくれたり、勇気をもらったり、喜んでくれたりと訪れる人々をいつも変わらず迎え入れてくれている。だからいつも感謝している。だからお掃除もしたくなるの・・・って

昨年7/1からの梅雨前線の停滞で降り続いた長雨は、香貫山の地盤が緩み土砂崩れの危険性が増していた。
7/1未明に土砂崩れがすでに起きていたので、その亀裂から雨が浸透し、これ以上崩壊が起こらなければと思っていた。
当時、その時の処置が、亀裂部分にブルーシートをかぶせただけになっていたため、ブルーシートだけでは、坂を下って流れ込んだ雨は確実に亀裂に入り込むわけで、山の仲間はその状況を危惧していた。
そして、早期の対応を求めていた矢先に7/10未明に、その亀裂から法面側に道路が崩れ落ちてしまい、その崩落個所は9か月間ブルーシートをかぶせたままになっていた。

やま2

9か月間ブルーシートで崩落した箇所を覆っていたのだが、4/26~やっと工事が入ることになった。
この間、何度も大雨に見舞われていたわけで、実際、崩落が起きた直後から現在に至るまでにどれだけ傷口が広がったのかだろうか・・・
緊急性を要したにもかかわらず、工事に着手できなかった理由とは、予算の確保ができなかったと思わざるえない。

崩落個所の復旧工事は、上の看板に示されたように、山側を削って道路幅の確保をする。崩落部分はモルタルの吹付だけで、崩落個所の補修工事は難しいのだろう。
山側を道路確保のために、さらに山を削らなければならないことを心配している市民に対して、塩坂先生の3月時点の調査において、妥当な工事であるという見解をいただいているので、問題はないと思っている。

今年1月と3月に地質学者の塩坂先生に香貫山の地質や崩落個所、そしてごみ焼却場の予定地等について、現場を一緒に回っていただき色々助言をいただいた経緯がある。
塩坂先生はこの山について「香貫山は都市の間近にある貴重な山であり、その利活用・保全計画を立てる場合は、香貫山全体の評価基準を作成しておく必要がある。様々な観点から重要度と影響度に分けたマップを作成し、それを重ね合わせることで総合評価していくと、全体を考えた優先順位をつけることが出来る。評価基準がないままでは、香貫山をどう活用し、どう残し、どう維持していくかという計画を立てることはできない。後追いの場当たり的な対応策に終始することになってしまう。」といわれた。

「香貫山の在り方」については、何度も専門家や市民が一緒に話し合われた経緯があるが、どれもこの山の保全というよりは観光的な活用や景観、植樹についてのことだったように思う。
今回、塩坂先生の指摘のように、まずは「香貫山全体の評価基準の作成」の必要性が求められているのだと思う。今後、この問題について取り上げていきたい。