山下ふみこオフィシャルブログ
2025.07.14
新中間処理施設建設工事に反対討論 in 6月議会
6月議会の議案に3本、他の会派は全員賛成の中未来の風は反対をしました。
議第64号 新中間処理施設建設工事について、反対の立場から5点意見を申し上げます。
1点目:
契約金額は311億5200万円という膨大な建設費です。日量210トンの焼却炉本体と日量23トン のリサイクル施設の合計で311億円です。その建設コスト単価については明らかにされていません。
しかし、2015年7月策定の施設整備基本計画では、焼却施設約170億円、リサイクル施設40億円、 合計 210 億円とあります。2016 年の2月議会において、建設コストが相当に高騰している現状を 踏まえると、しばらくの間状況を注視し、地域の皆様にさらなる御理解をいただけるよう、当初の スケジュールを東京オリンピック開催後の平成32年度以降、2020年度以降が建設に着手すること を一つの目安と答弁して、建設コストの高騰によって、事業を順延しています。
今回の議案は、こ の10 年で、さらに建設コストは値上がり、当時計画していた建設費用210億円から311億円と、 100 億円以上、約1.5 倍に建設費用が膨れ上がっています。
1トン当たり幾らの建設コストかも提 示されないため、311 億円が適正な価格なのか判断ができません。また、タクマグループ1社のみ の応札だったので、他社との比較もできません。ちなみに、一般社団法人日本環境衛生センターのごみ焼却施設の建設トン単価の推移を見ると、2022 年度の平均は1トン当たり 9,200 万円ですが、 それに比べると、沼津市の今回の建設単価は非常に高くなっていると思います。当時の建設コスト が物価高騰で順延になったことを踏まえると、さらに1.5倍もの建設費増額の妥当性について、契 約内容が分からないのに、この契約を認めるわけにはいきません。また、契約額の見直しは不可欠 と考えます。
2点目:
旧焼却炉周辺に鉛、ヒ素等の重金属及びダイオキシンが降り積もっていたとなると、煙 突の風下の外原区の住民は何十年もの間、毎日その汚染物質を吸っていたことになりかねません。
煙突から出る煙の中の重金属類は、1回のサンプリング調査では正確な測定はできません。何十年 の蓄積で汚染されていくのです。鉛の汚染は、乾電池由来だと言っていますが、焼却炉の煙突から 出る鉛類を除去する技術はありません。バグフィルターでは除去できません。
今回の新中間処理施 設建設予定地における貯じんピット内にダイオキシン類等汚染物質が発見されたにもかかわらず、 その原因・究明が明確にされなければ、今後数十年と続くであろうごみ焼却施設について、住民は 不安を抱えています。
昭和49年11月14日に当時の井出市長が地元外原地区と交わした覚書には、将来、一ノ 洞、二ノ洞、三ノ洞には一切増設、新設をしないという内容等が示されています。そもそも外原地 区の住民がこの施設を受け入れたのは、覚書に示されているように、今ある地には将来一切増設・ 新設はしない将来計画が示されたことによって、受入れを決断したのです。
市民生活に直結した欠 くことのできない施設であることを理由に、現施設をつくるために、市長から外原地区に対して、 これまでも迷惑をかけてきたことへのおわびや、反省もあり、住民への理解を必死で求めていた 様子がうかがわれます。
住民としては苦渋の決断であり、それが半世紀にわたり強いられ、さらに また同じ地に覚書を反故にして建てられようとしています。この住民の方々の半世紀にわたる思い、 そしてさらに今後何十年続くか分からない状況に今回誠意を持って答えようとしたのでしょうか。 対立ではなく、まずは長きにわたった住民への感謝と謝罪、そして、本当に理解していただくため の努力が十分ではないと考えます。
ごみの減量化、見直し、市民参加の検討が行われていないことが分かりました。2015 年の施設整備基本計画では、焼却炉本体、日量210トンリサイクル施設、日量41トンです。今回 の新中間処理施設の焼却炉の処理量は日量 210 トンと同じでありながら、リサイクルの量は日量 41 トンから23トンに減っています。2022年4月1日、プラスチック新法が施行され、これまで焼 却炉で焼却していたプラスチックを資源リサイクルする施策をつくることが、市町の努力義務とな っているのに、リサイクルの取組が後退したのではないでしょうか。日量210トンのうち当局が言 う18.9%がプラとすると約40トン、熱源プラスチック9トンを含めて焼却しないようにすればご み減量化は大きく進み、建設費の削減にもつながりますが、そうした検討が行われていません。
5点目:
国の補助金内示です。国の審査では、住民同意や環境アセス、都市計画決定は、交付金 の交付要件として規定されていないため環境省の調査を受けておりませんと、沼津市は言っていま す。法律上の明記はなくとも、これまでの裁判事例や裁判に基づく交付要綱の指示通知において、 これらの3条件は必要不可欠とされてきました。今後、本体工事について、申請したときに、調査 を受けることにならないと断言できるのでしょうか。以上をもって反対の意見といたします。
