山下ふみこオフィシャルブログ
沼川
2023.08.26
沼川放水路の現場視察その2
沼川放水路は10年に1回程度発生すると想定される規模の洪水による家屋浸水被害をおおむね解消することで地域の安全安心に寄与すると書かれている。
其の10年に1回で示されている浸水被害状況は、左に示されている過去の被害状況。
R3年7月、R5年6月の被害状況は、この沼川放水路の計画時には起きていなかったわけで、もちろん想定されていなかったと思う?
沼川放水路:完成はこの沼川の事業費370億円はH24に試算されたものだという。見直しをかけなければならない時期に当然なっている。昨今の更なる資材・原材料、電気等の値上げなどで相当な事業費の見直しになるであろう。
又、この事業の困難さ、特にJR東海道線の下を潜るトンネル工事は想像を絶している。
1・暗渠の部分は砂州と言って砂の堆積構造になっているので、地盤は緩く掘り下げると地下水が溢れ出てくるという。この流域には60基ぐらいの井戸があり、井戸を枯渇させないためにも工事の手法はとても困難を要するという。
2・下流工区(暗渠区間900m)はJRの線路から海岸までは、線路があるために地下に巨大な水路(トンネル工法のカルパート)を整備しなければならず、この暗渠区間が相当大変な工事を強いられている。特にJR東海道線の区間は24.2mしかないにもかかわらず施工期間がR1~R9となっている。
線路から2m下を鉄の箱を一本一本通していく河川トンネル工事は、その振動でミリ単位で線路がずれることがないように、掘る作業は手作業でスコップで掘るしかないという。
今年1月からHEP&JESという特殊工法で、線路下の工事を電車を止めることなく工事を進めていく気の遠くなる作業です。
炎天下の中を案内して下さり工事関係者の皆様のご苦労を垣間見させていただき本当に驚きの連続でした。
工期は順調にいって令和14年、下流工区は令和10年に常襲浸水域の一部は解消されるという事です。
関係者が言うように放水路ができたから浸水が起きなくなるというものではない。水災害は流域治水という観点から国県自治体と協働しながら、この気候変動に住民の命と安全を守るために最優先すべき事業だと痛感した合同視察でした。感謝!
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