山下ふみこオフィシャルブログ

2017年10月

2017.10.30

高尾山古墳を護れ by磯田道史

ベストセラー1位「日本史の内幕」磯田道史著 読売新聞の連載をまとめたものが主になっている。

第1章 古文書発掘、遺跡も発掘 の中に「初期古墳を護れ」高尾山古墳が載っている。2015年6月に読売新聞に掲載されたものだが、今回の最後の文章は「・・・読者諸兄の世論の後押しが要る。よろしくお願いしたい。」と結ばれている。
2年前も彼はそう熱く語っていた。その後押しもあって一旦は凍結になったのだが、現実にはいまだに進んでいない。水面下での交渉は進んでいるというのだが・・・

前市長の下で、古墳の破壊予算が秘かに計上されていたのを一般質問で追求し、その後、メディアが大きくその問題を取り上げ、全国の多くの歴史ファンの注目を集めた。議会では一部の破壊する強硬意見もあったが、市長の英断で一旦はその予算は凍結され、有識者による保存のための検討委員会も開かれ、残すための道路案を提示し、計画は進んでいたかのように見えたが、すでに2年が経過。道路の形状が問題で警察との交渉が難航していると聞いていたのだが・・・

当時、高尾山古墳は残す方向ではなかった。私が一般質問に取り上げる時、余計なことはしないでほしいとまで言われ、すでに壊す方向で進んでいたのも事実であった。そして、今更、そんなことを言っても無駄だとまで言われていた。しかし、それが翻ったのは、水面下で心ある方々が沼津の高尾山古墳保存のために奮闘してくださっていた。その一人として磯田さんの影響は大きい。

以下に読売新聞に掲載された高尾山古墳をアップしておく。↓クリック拡大

2017.10.28

元・少年少女の「どれみ合唱団」デビュー

今年2月に結成し、80歳になったら世界デビューを目指そうと元・少年少女が集まって「どれみ合唱団」の月1~2回の練習がスタート。
デビューにはまだまだほど遠~いのに「どれみ合唱団」に出演依頼が舞い込んだのです。
今日はその初舞台でした。
皆ドキドキワクワクしながらも、いざとなったらマイペースで伴奏のピアノなんてムシムシ。
施設の皆さんのノリのいいことったらすごい!
皆さんをのせるつもりが逆にのせられてすごーい楽しかったぁ~
この施設は地域密着型特別養護老人ホーム「ノアノアテラス」社会福祉法人ウェルネスケア
2015年、大平に介護老人福祉施設として開設。
スタッフさんも明るくて若い人たちが多く、開放的で家族的な雰囲気の中、何よりも利用者さんが楽しそうです。

2017.10.25

プージェー&探検家・関野吉晴 by 牛山精肉店

モンゴルの遊牧民の少女「プージェー」彼女にまた会いたい。牛山精肉店で上映された探検家・関野吉晴のドキュメンタリー映画「プージェー」をみた。
そこに探検家の関野吉晴さんや映画監督の山田和也さんご夫妻が同席していたとは全く知らずにいた。
途中から入った私は、いつの間にか、その少女と祖母の優しい笑顔に魅入られ、モンゴルの遊牧民の広大な草原の中で暮らす家族の日常を淡々と追ったドキュメンタリーに涙が止まらなかった。

探検家・関野さんをご存知だろうか。人類発祥の地東アフリカから南米まで、人類が拡散した5万キロの足跡「グレートジャーニー」を、逆ルートで旅した人…そんな位しか知らず、まさかその人がそこにいることなど聞いてもいなかった・・・そこに監督さんも・・・

(下記の写真は映画終了後、室内が明るくなって、そこに探検家の関野さんと映画監督の山田さんご夫妻がいたことを知る。この本を読んで感動した牛山のひろ子さんが直接電話をして、この映画上映にこぎつけたと後で聞く)

現実のモンゴルの生活とそこに住む人々の素顔を淡々と描いていただけなのに、そこに生きる少女の逞しさと凛とした生き方に心が奪われる。彼らたちの生活やそこの空気が伝わってくる。
関野さんと少女プージェーとの出会い、そして、家族との交流がそのまま素のまま伝わってくる。

過酷な自然の中で暮らす遊牧民の生活にも、社会主義から市場経済の波が押し寄せ、医療も教育も無償であったものがお金がなければ得ることができなくなり、プージェーの母親は診療拒否され亡くなる。さらにはプージェーも。
生きるっていうこと、命とは・・・市場経済の中に生きる私たちの幸せとは何か。
何よりも6歳のプージェーの逞しさとその凛とした姿が今も心に残る。

数年後に訪れたプージェーの家族たちとの再会は関野さんさえ信じられないプージェーの死だった。
このドキュメンタリーは関野さんが魅かれたプージェーとの出会いから始まり、その出会いから彼女は将来は日本語通訳者を目指す。そこには遊牧民としての生活ではない道を彼女に決心させた関野さんとの出会いがある。しかし、最後は・・・

出会いによって人間はその都度大きな選択をしているのかもしれない。自ら選んだ人生であっても、人との出会いによって影響され、影響しあって変わっていっているのだろう。しかし私はその一瞬一瞬の出会いを通り過ぎたままにしてきていないだろうか・・・

この映画の後、探検家・関野吉晴氏のことを知ってみたくなった。
http://www.sekino.info/
短い人生のなかにありながら、ゆったりとした時空の中で、壮大な夢を持ち、生きている人のような気がする。たった数時間、彼と一緒に牛山精肉店でプージェーの映画を一緒に見たなんて、夢だったのか。しかし、プージェーの顔はずっと私の脳裏に焼き付いていくだろう。

是非、見てほしいドキュメンタリーである。

2017.10.21

高架事業認可取り消し等を求める訴訟

H28年9月に高架事業認可の取り消しと貨物駅移転先の土地収用裁決差し止めを求める訴訟を静岡地裁に起こしている。

高架事業に伴う貨物駅移転の原地区や、区画整理の対象となっている富士見町の地権者等が原告団106人で結成し、国と県そして沼津市を被告として争っている。(前回から沼津市も被告側に参加)

↓原告団代理人:海渡弁護士と花垣弁護士
(人間的にも本当に温かみのある弁護士の二人)

第5回目の公判は10/17でした。

原告の主張(地権者):高架事業による財政への悪影響を主張
被告の主張(沼津市)「長期財政試算」を提出。これを基に高架事業を含む大型事業が可能だという試算結果の主張を添えて提出している。
試算は人口減少対策の効果を反映させたもので現実的予測であるということらしい。

今回、沼津市は本会議で「長期財政試算はあくまでも試算であり施策には反映しない」と答弁。さらに、先日の市長との面談において、「試算は市の目標や方向性を示したものに過ぎない。この試算通りには市政運営を行うものではない」と言っている。
目指す人口ビジョンの目標(出生率1.46⇒2.07)を基に試算を出したのでは、現状と大きくかい離し、目指す数値を基に、財政が大丈夫だという根拠にならないにもかかわらず、この試算が証拠書類として挙がっている。
しかし、政策目標にしているデーターを前提にしていては、政策目標は目標だから現実から外れる。こんな目標値を根拠にされていたとは驚くべきこと。

(目標だから、希望に満ちた世界一を目指す目標の方がfeelingはいいし、市民にも受けはいいだろう。実際、総合計画は財源の手当てを示していないものになっている。責任なんて誰も取らない。議会が質さない限り・・・)

次回の口頭弁論12/19の口頭弁論において市財政の問題点について原告代理人の海渡弁護士と花垣弁護士が徹底的に反論していきます。

★★第6回目公判のお知らせ★★
12/19(火)(バス出発時間8:00 公判開始11:00)
バスをチャーターしますので、一緒に行きませんか。
地権者の踏ん張りがあるからこそ、高架事業の問題点が明確になってきました。
この町が目指す未来は高架だとは到底思えません。
長年この町に暮らしてきた住民として、見過ごすわけにはいきません。
どうぞご支援お願いいたします。
a-裁判

2017.10.20

市長へ長期財政試算に抗議 各新聞掲載へ

昨日、市長へ長期財政試算に対して強く抗議をしたことが各新聞に掲載されたのでアップします。
順番に・沼津朝日新聞・毎日新聞・朝日新聞・静岡新聞(記事内をクリックすると拡大)

最後の静岡新聞では2つの対照的な記事の掲載をしている。
私たち市議6人(山下・殿岡・江本・川口・中田・梅沢)の高架事業に反対する抗議書。
かたや、市民クラブの議員5人(鈴木・渡部・梶・深田・霞)は来年度予算に向けて、鉄道高架事業に対して、推進する立場から、貨物駅の移転に向けて土地強制収用に基づく調査の実施を重点要望として求めたという。

16朝日新聞
18東京新聞
19静岡新聞

2017.10.20

捕らぬ狸の皮算用の沼津市長期財政試算

★★★ 長期財政試算は「捕らぬ狸の皮算用」★★★


沼津市の長期試算は30年間の歳入(収入)を過大にし、やるべき事業を浮上させず先送り、または平準化して、歳出を一度に大きくしなくて済むように、無理な前提条件になっている。
 歳入を大きくし、歳出を小さくしなければ、鉄道高架も中間処理施設も新体育館も成立しないということを図らずも証明したものになっている。

試算の前提条件がなければ、この3大事業は成立しない

1・将来の人口予測が非現実的
試算の将来人口は出生率を現状の1.46から2.07まで引き上げ、人口の転出入差をゼロにした非現実的なもの。国立人口問題研究所の推計と大きな差がある。
試算の基本となる人口予測が現実に即していない。

将来人口推計国県市グラフ

2・人口減少とともに納税義務者が減少
市民税収入が減少傾向になる。その反面、高齢化による医療費や生活保護費等の扶助費の増加が進む。

3歳入の地方交付税等の見通しが過大
H2820億円(決算)から48億円にまで倍増する。
しかし、国の地方交付税総額は減少傾向で、今後増える可能性はない。

グラフ赤の点線:長期試算予測(実線は決算額)

4公共施設の老朽化による維持更新費用が不透明
試算では、鉄道高架、中間処理施設、香陵公園周辺整備(体育館等)の3事業を上げているが、予想される大型事業はこれだけではない。
築50年の市役所庁舎の更新費は55億円と過小評価。築30年の市立病院の更新費やごみ最終処分場整備費などは算入していない。

(↓グラフを見ると年々減少している投資的事業費(建設事業)。老朽化対策はまだ始まったばかり。通常事業でさえ支障をきたしている状況に新たな事業費を生み出す余裕はない。)

5・中間処理施設の建設費を平準化
建設は3か年で総額223億円を23年間で平準化し、1年の建設費を矮小化している。
この条件では民設民営のPFI手法しか成立しないが、まだ民設導入は決まっていない。

2017.10.19

市長へ長期財政に強く抗議を!

9月議会直前において市長が「長期財政に関する試算」を公表した。
その記者会見で、市長は「沼津の財政がどうなっているのか、という市民の疑問に答える形にした。財政の健全性は保たれている」と強調した。
市民が抱く疑問や不安をできる限り解消したいという市の狙いがあったためだ
、と9/6の静岡新聞にはそう書かれていた。
その試算が本当に市民の疑問や不安を解消できるものになっているのかどうか、私を含めて多くの議員が一般質問をした。(↓記事クリック拡大)

8静岡新聞の財政健全化記事

一般質問において、この試算の意義について質したところ、当局は「施策には反映しない」と答弁。
ではなぜ公表したのか?
施策に反映しないものを、副市長が中心となって、財政課の職員は夏休み返上でその「長期財政試算」を作り上げたのは何故か?
少なくても公金を使ってやるからには施策に反映するものでなければならないはず。まして、市民の不安を払しょくするための試算の公表ではなかったのか?

議会の一般質問では、市長からはいっさいの答弁を得ることができなかった。そこで今回、市長と「長期財政に関する試算」について面談を申し込んだが、一旦はそれも拒否された。
理由は「議会で充分議論をしつくしているのに必要なのか・・・」というものだった。

今まで少なくても議員が市長との面会を申し込み、話し合いに応じてもらえなかったことは一度もなかった。前市長の時は時間が空いていれば、その場で応じてくれたこともあった。

そんないきさつの中で、申し入れてから3週間という期間を経てやっと議員6人(3会派)の面会がかなった。

6人の議員の申し入れ書を市長へ手渡す。以下に添付 ↓クリックすれば拡大

今回、市長との面談は市民は入れないという市長側の意向で成立した経緯があります。それでもと思う方もいて、雨の中をかけ付けて下さったのですが、双方に申し訳ないことでした。廊下で待っていた方もいたと聞きました。市長面談後の記者会見場の席に同席してくださった方もいました。
記者会見後、貴重な意見も聞かせていただき、議員6人真摯に受け止め、実行に移そうと話し合いました。

2017.10.18

ぬまづのミライはどんなミライ?

今朝の沼津朝日新聞に「ぬまづのミライ」「ぬまづのミイラ」と読み違えてしまったという市民の投稿を掲載する。

牛山20171019

今議会で、市民から請願第1号
「浜岡原発の再稼働を認めない」とともに、情報公開、避難計画の作成など、浜岡原発事故対策を求める請願
今回の請願は「浜岡原発を廃炉にし原発ゼロを目指す沼津市民の会」から出された。
(1)「再稼働を認めない」という立場を明確に表明し、県知事の姿勢を支持すること
(2)原発事故が起きたら、情報を公開し、どう対処するのか防災計画に明確にし、市民に周知すること
(3)原発事故に伴う避難計画を立て、市民に周知すること
                                以上がその請願内容。
しかし、本議会において賛成6:反対21で不採択になった。

現在も福島原発事故の原因が解明されていないまま、放射線による被害は深刻な問題に発展している。各地の原発が再稼働をしている状況は、活断層の真上に建つ浜岡原発は、その風下にある沼津市にとって他人事ではない。市民の安全にとって必要な項目を追加することは議会としての責務であると思うが、21人の議員は「H24に浜岡原発に対し意思表示を明確にしている。今後は再稼働すべきどうかはさらに議論すべきである」として反対したことは大変残念なことです。

↓画像をクリック(拡大してご覧ください)

浜岡原発請願書1-1
浜岡原発請願書1-2

2017.10.17

一般会計の反対討論 その4

反対討論の最後の章です。なぜ、必要な事業が進まないのか、先に述べた財政的な課題が重くのしかかっているからこそ、市民生活の根幹事業が検討されずに先送りせざる得ない状況です。
本来ならば、これらの事業も一緒に考えるべきことではないのでしょうか。
必要な検討すべき大型事業(高架事業・中間処理施設・体育館)は、これだけではないはずです。

-------------------------以下 反対討論-続き----------------------

 次に、決算年度について、政策的な観点からいくつかを述べたいと思います。

評価するものとして公民連携の推進事業として民間主導による2つの事業です。
1つにはリノベーションまちづくり
空き家や空き店舗に若者や地元のオーナーを巻き込み、そこに新たな機能を付加することで、遊休不動産の再生と雇用を目指す取り組みは、地元を離れた若者やこのまちに関心を持つ人たちを巻き込んだ新しいまちづくりを進めています。
もう1つは「まちづくりファンド」
ファンドの資金を使って、地域に人のつながりを生み出す取り組みやその拠点となる交流の場づくりなど、市民が主体となった事業を展開しています。
この事業はHPや広報でも巾広く周知し、その成果についても公表し、事業の透明性を図っていることも評価したいと思います。

次に政策的な課題として市民生活の根幹にかかわる事業について述べておきます。

まずは最終処分場です。
すでにその期限が迫る中、廃棄物処理計画にも示されていながら進展していません。焼却灰も含めた一般廃棄物の95.7%が外部委託処理に依存している現状です。さらにはごみの焼却施設も整備しなければならないといった課題が山積です。

 次に斎場の問題ですが、
施設全体が老朽化し、建物や設備において何年にもわたり不具合が生じているにもかかわらず、施設全体の検討を行っていない状況が今回の決算審査で露呈しました。

 さらに51年経過したこの庁舎の老朽化問題
昨今の全国の状況は地震災害において耐震化はされていても被災をして大きな社会的問題になり、同規模の自治体では更新計画が進んでいます。しかし、未だに沼津市おいては更新についての検討がされていないのが実情です。今後、公共施設マネジメント計画にのっとって、個別計画を作っていくとは何とも危機意識の欠如の表れとしか言いようがありません。他市同様に庁舎建設基金などの必要性は喫緊の取り組みではないでしょうか。

続きは「その1」へ

                                        以上
--------------------------------------まとめは「その1」へ--------------------------

下記のグラフは(赤)投資的事業(建設事業費等)に占める一般財源が年々減少している状況がわかるでしょうか。それは(青)高齢者医療費や小児医療費助成や生活保護費等の社会保障費、つまり扶助費が大きくなれば、投資的事業は抑制せざる得なくなる。
この30年間のスパンで見たときに、青(扶助費)が年々大きくなり、H25の時に、そのグラフに占める赤(建設事業等)と青の割合が逆転している。
(赤・34億円):(青・40億円)
今後、人口減少が進み、高齢者数が減少しても、納税義務者数も減少するので、税収はさらに縮小していく傾向にあり、これから本格的に始まる老朽化対策、そして喫緊の課題の耐震化されていないごみ焼却施設と体育館、さらには高架化事業。
ピーク時の1/3にまで建設事業等に投資する一般財源が小さくなった今、どうやって喫緊の老朽化対策を進めていくのか、他市町に比べ、これから大型事業を進めなければならない沼津市にとってさらに厳しい財政状況にならざる得ない。

  一般財源とは: 歳入のうち、市税、地方交付税、地方譲与税などで使途が特定されない財源
特定財源とは: 歳入のうち、国庫支出金・使用料・地方債などで使途が特定される財源

2017.10.17

一般会計の反対討論 その3

「その2」からの続き
投資的経費充当一般財源が年々減少が続いている状況は、その基となる収入(歳入)が増加しなければ、高齢化等によって社会保障費が増加すると、投資的事業にシワ寄せが来る。では、その根本の歳入についてはどうなっているの?
----------------------------------以下反対討論-「その3」------------------------

 この、一般財源総額の減少をもたらしている要素については、主として以下の3点、ここで申し述べておきます。

 第一、市税、とりわけ、市民税(個人市民税・法人市民税)です。(下のグラフに示す)
この部分、地方財政計画の見込みとは異なり、「減少」となりました。これは、個人市民税はやや横ばいに対し、法人市民税が大幅に減少した結果です。

 第二、地方交付税です。
この年度は何故か特別交付税も減少しておりますが、注目するのは普通交付税が約17憶円と、前年より約1憶円減少となりました。このことについても地方財政計画とは逆の結果となりました。さらに、やや細かいことではありますが、大変重要と考えますので、その内容について、述べてみたいと思います。

 普通交付税算定の基礎となる、基準財政需要額、基準財政収入額ですが、基準財政需要額はやや横ばいであることに対し、基準財政収入額が増加したことで、普通交付税額はその分、減少しています。ここで、さらによく見なければならないのは、「基準財政需要額が横ばい」ということです。

市当局の言う「臨時財政対策債の元利償還金については全部、事業債については一部が交付税措置される」とし、この分、普通交付税が増えるという認識に対し、結果的には残念ながら、そうはなっていない。ということについて、ここで明確にしなければなりません。

 つまり、確かにそれらは、需要額に算入され、つまり、「交付税措置」されるにもかかわらず、需要額を構成する他の要素、土木、教育、厚生、産業などの他の個別算定経費は人口を測定単位とするものが多く、また、今日の「新型交付税」における包括算定経費についても人口が基準なので金額は小さくなることはおのずから明らかです。その結果、需要額は拡大しない筈です。つまり、「交付税措置はされるが、実際の交付には至らない」ということに他ならないのではないでしょうか。

 第三に、臨時財政対策債あります。
借入可能額は、前年度約22憶円から約4憶円減少することとなり、この点は、地方財政計画と合致する結果であり、なおかつ、国が示すように財政力に応じる形となり、赤字地方債への依存を小さくし、まさに「一般財源の質」は高まったと言えるでしょう。
このことは、沼津市において、将来にわたり一般財源の総額の確保には、暗い影をおとしている状況です。さて、繰り返しますが、このように一般財源総額が小さくなり、扶助費等の経常経費にその多くが拘束され、従って投資的経費に充てることができる財源が縮減する。その傾向をよりあきらかにした平成28年度の決算です

このことは、言うまでもなく、巨大な投資的事業、とりわけ、鉄道高架事業をはじめとする、巨大事業に、しかも、同時進行的に取り組める財政状況には遠く及ばないばかりか、目前に迫りくる、いや既に差し掛かっている、公共施設の数々の維持更新の必要性、また、インフラの機能保全や耐震化や老朽化という巨額の費用を求められることについて、改めて危機感を覚えます。
そのことをここで申し述べておきます。

 一方、財政健全化法に基づく「実質公債費比率」「将来負担比率」はその数値が良くなっている。

つまり、沼津市の財政状況は良いという判断がなされることへの警鐘として意見を述べておきます。端的に言って、それらは、起債額の減少傾向に起因していることは明らかでしょう。繰り返し述べてきたように、一般財源の収支が硬直化しているので、傾向的に起債を抑制せざるを得ない、そうした状況にあります。

なぜなら、起債事業に付随して求められる「裏財源」としての一般財源の確保の困難、および、起債事業の後の元利償還に要する一般財源の確保の困難、その困難性から起債の抑制をせざるを得ない。
決算年度における起債残高は約718憶円でありましたが、これはまさにここ数年、減少し続けています。ちなみにH24年度は約732憶円で、以降、毎年毎年減少しています。なぜ、残高が減少し続けるのか、それは、起債を抑制せざるを得ない財政状況であるからに他なりません。

 従って、財政指標の数値が良いのは、実は、起債の抑制、その背景にある一般財源の硬直化、つまり、裏を返せば、実は財政悪化の表れのひとつであるといわねばならないでしょう。この点、あえて付言しておきます。

↓下のグラフの青は納税義務者数の推移。
人口減少が進むと納税者数の減少と連動し、それは個人市民税の減少に連動してくる。

さらに法人市民税の納税者数(事業者)も減少している状況は深刻である。

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