山下ふみこオフィシャルブログ
2020.01.20
第15回自治体議員政策研究会・静岡県
全国自治体議員政策研究会の静岡県版の勉強会を県内銀と市民が集まって静岡市役所で行う。
今日のメインテーマは「PFIの諸問題」講師:公益財団法人地方自治総合研究所・菅原敏夫さん
何故地方自治体はPFIをやるのか?(国はPFI(PFI/PPP)事業の推進に乗り出し、総計目標額を定めているので、それを何が何でも達成しなければならない。20万人以上の自治体にはPFI事業を義務付けしようとさえしている雰囲気がある)
日本のPFI法っておかしい?
Q:日本以外のイギリスを始めEUでは、施設整備費の割賦払いを禁止しているが、むしろ日本では、割賦払いによる施設整備を促進している。(割賦払い(ヤミ起債)は自治体の財政を棄損するにも拘らず、なぜ勧めるのだろうか?)
A:地方自治体が自ら銀行に借金するよりも、資金調達コストの高い民間資金を利用して施設を整備するっておかしい。(この批判は当初からある)
PFIの本家イギリスでは、国や自治体が起債(借金)をして、資金を調達し、運営権は民間のスキルを頼りにして安く運営するというのがPFIの王道だという。料金収入がある運営権(2011年PFIに導入)こそが、PFIの真骨頂だと言われてきた。


PFIに関して今自治体で起こっていること
現在市町村で一番多いPFI案件では「給食センター」。センター建設とそれ以降の施設の維持管理と運営である。
PFI事業は包括的に委託する事業であり、各種事業を複合的にこなせ、資金力、信用力にたけていなければならず、給食センター(SPC)をコントロールし続ける必要があるので、必然的に大企業(地元企業では難しい)に限られてしまう。対象企業が限られ、プロポーザル方式なので、競争性はやや制限される。地元への還元は、、雇用や食材購入などになり、この慣行も競争制限的に働く。このことはVFMを減少させる。
(PFIは建設と運営を包括的に行うので、大手ゼネコンしかできない。特に給食センターなどは(PFI事業の大手:トーヨー食品やシダックス)自分の会社から食品を購入させるので、収益は大きい。PFIで誰がもうかる仕組みになっているのか!
2020.01.19
第4回おとなの寺子屋 by 六車由美
第4回おとなの寺子屋は、「つながりたい!生きていると思える居場所づくり」
講師の六車由美さんは、沼津市のディサービス「すまいるほーむ」の管理者で「驚きの介護民俗学」で日本医学ジャーナリスト協会大賞を受賞している。県知事も此処を訪問しているように、利用者さんの生きてきた人生を尊重する介護支援の取り組みをしている。その取り組みと彼女の提唱している「すまいるかるた」づくりのワークショップを兼ねた有意義な講演となった。

まず驚いたのは、「すまいるほーむ」では、仲間が亡くなったときは、お別れ会を開き、みんなでその人の思い出を語り、かるたにして弔い、悲しみや辛さを共有し合うという。そして、亡くなった仲間の存在を心に刻む。
いつか誰にも訪れる死を、決してクローズにしない。本来その行為は、介護施設においてはタブーなものであるはずだが・・・・
此処ではそうやって「すまいるほーむ」のご先祖様になって見守ってくれる存在になるという考え方である。
精神科医療で注目されている「オープンダイアロ―グ」
本人、家族や医師、看護師などの専門家が平等な立場で対話をすること。その効果は、何でも語り合える雰囲気で対話を進めると関係性が良くなり、その関係性が症状を改善していくという。
(このダイアログという手法は、行政や政治にも取り入れられている。)
・開かれた対話(聞き書き)の積み重ねによって、「すまいるほーむ」の日常に対話の場が生まれ、利用者にとってもスタッフにとっても心地よい場所に変化するという。
心地よさとは? ・人と人とのつながりがあり、互いが互いを尊重しあえているということ
よく六車さんに言われることは、「介護等の支援策が事業や制度として決まる前に、必ずその支援を受ける側の本人抜きに本人のことを決めないで!」という。
いくら認知症の方でも、どうしてほしいのか、どうすればいいのか、まずはその当事者たちに聞いてほしいという。
往々にして、その新規事業や制度等を決める時に、協議会や審議会で何度も話し合われるが、その時のメンバーは有識者(大学の先生等)や専門職、そして一般の人というように、その支援を受けるための当事者はその話し合いの場にはいない。せっかくの支援策も、本来の当事者支援策に繋がっていないというケースはよくある。
六車さんは、医療現場や介護現場、行政の現場、地域の居場所にオープンな対話ができることが、つながりの回復であり、それがお互いにとっても、開かれた、健全なストレスの少ない環境をつくっていくという。
現代の孤立した社会にとって、つながりを求めることは大変難しい状況だが、そのつながりや居場所がないことで不安や孤独を感じる人たちが多くなっているのも事実である。
だからこそ、お互いの関係性を築くための方法として、「すまいるかるた」によって、みんなが対話することによって一つの「かるた」を一緒に作るという共同作業があるのだと思う。
今回はそのワークショップは、5,6人のグループごとに対話をしながら、共感をしたり、質問をしたりすることによって、「かるた」を完成させていく様子は、どのグループも楽しそうでとても賑やかなワークショップでした。