山下ふみこオフィシャルブログ
2017.05.14
臨時・非常勤職員の法律改正への課題
5/8衆議院第2議員会館で自治体議員政策情報センター・虹とみどり主催の地方×国政策研究会の勉強会に参加。ここで開催される勉強会は、昼休み以外はノンストップで進む。九州から東北まで多くの自治体議員が毎回参加している。
今回のテーマ●「非正規」公務員の改革関連
●指定管理者制度「市民にとってより良いサービスになっているのか?」
地方公共団体における行政需要の多様化に対応し、地方公務員の臨時・非常勤職員(一般職・特別職・臨時的任用)の適正な運用と任用が確保されていないことから、地方自治法と地方公務員法の一部改正をし、平成32年度に施行するということでその法律案について勉強をする。
まずは総務省職員から新しい公務員制度について「あり方研究会報告書」の説明があり、そのあとに総務省の改革案について、「改革の問題点と今後の課題について」外部講師の方から各自治体での活用方法のレクチャーを受ける。
実際、総務省が言う法律の解釈権は自治体にある。また、通知は法的拘束はないので、その改革案については各自治体で判断すべきであるということを踏まえて、臨時・非常勤職員の処遇改善を議論していかなければならないと思う。
厳しい地方財政の状況が継続する中で、教育・子育て等に増大し多様化する行政需要に対応するため、臨時・非常勤職員数は増加。
全国的に見ると、非正規化公務員はこの11年間で、事務補助は10万人、教員・講師は9万人、保育士6万人、給食調理員4万人、図書館職員1.7万人の増加でH17年の45.6万人からH28年は64.5万人と1.4倍にもなっているという。
これまでH26総務省通知等により助言をしてきたが、地方公共団体によっては、制度の趣旨に添わない任用が行われていて、処遇上の課題も解決していない。
また、民間では「同一労働同一賃金」に向けた検討がある中で、地方公務員の現状は正規職員と比較すると格段の差がある。
地方公務員の非正規化は、官製ワーキングプアー化を伴って進展してきた。ワーキングプワー化した非正規公務員は地方自治体に勤務している職員の今や3人に1人がそうなっているという。
特に出先機関は女性の仕事が多く、地方公務員の非正規化は、結局、女性の非正規公務員化を進め、今では3/4が女性であるという。
賃金格差は1/4~1/2に拡大している。
一般事務職員をはじめ、保育士、図書館員、給食調理員など女性の非正規雇用の拡大を進めてきた。また、職員は人事異動等で長くそこの部署にいることが少ない中、専門家は逆に非正規しかいないという状況も現実にはある。
今回、現行法から法改正になると、労働時間の差で処遇を区分される。つまり、労働時間の差別による改正であり、同一価値労働・同一賃金の原則から逸脱した法改正だという。
上記の図表からもフルタイムの非常勤職員の平均年収173万円と常勤職員の平均年収は1/2~1/4の年収格差がある。
しかし、事業主たる地方自治体には処遇改善の義務付けはないという。民間事業主には、今後課せられる待遇差の説明義務も非正規公務員にはないという。
総務省の法案が通れば、これからの非正規雇用の待遇が決まっていく訳で、特に非正規公務員の処遇改善は、民間労働者の周回遅れと言われる現実があり、どこまで処遇改善の議論を進めていけるのか、地方自治体の議員の責任は重大だと思う。
2017.05.13
療育支援センターin 富士宮
5/11午後からは富士宮市立療育支援センター「こあら」を訪問。
このセンターができた一つのきっかけはH19年度に「発達が気になる子の調査」を市独自で行った時に、10.38%という結果を踏まえて、H20年度に「就学前の気になる子どもとその保護者」を支援するために、「子ども未来課」に療育支援係が新設された。
H26年度に「療育支援センター」が開設され、療育支援課となり、早期発見・早期療育のための相談や療育事業を行っている。(↓下記画像クリック→拡大)
センターでは、保健師(課長)+事務職1人+正規(保育士1人、作業療法士OT1人、臨床心理士1人)+嘱託(心理判定員1人、作業療法士OT1人、言語聴覚士ST1人(欠員))+臨時(保育士4人)
臨時の保育士やOT,ST,PT等の専門職の定着性がなく、募集をかけても臨時職ではなかなか集まらないのが実情。療育支援を充実したものにしていくためには、専門職の確保が必要である。
療育事業:未就園グループ8グループ 計67人(145回)月3回(午前中)
就園グループ8グループ 計46人(118回)月1~3回
個別療育:
言葉の教室(保育士)、心理士や作業療法士の個別指導、:30~60分/月1~4回
園訪問事業:181人 224回(1か園1~4回/年訪問)
園からの相談で療育支援係と園児の様子を把握し、対応を相談。また、センターに通う園児の園での行動観察し、園と連携した取り組みを行う。
実際、みはら園のような取り組みを行うにはスタッフ不足と人材確保が難しい。現状はみはら園と連携し、研修等では情報提供をしている。
障害福祉計画について:平成30年度~32年度に向けた障害福祉計画(H27~29)の見直し及び障害児福祉計画の策定を平成29年度中に行うことから、今年度中に現行の基本指針について見直しをすることになった。
基本指針見直しのポイントとして、障害児のサービス提供体制の計画的な構築も示されている。その中で、児童発達支援センターを中心とした地域支援体制の構築やライフステージに応じた切れ目のない支援と保険、医療、福祉、保育、教育、就労支援等と連携した支援等について、基本方針に盛り込む案も示されている。
2017.05.12
児童発達支援センターin 富士宮
5/11(木)富士宮市にある3歳児から就学前までの児童を対象にした児童発達支援センター「あすなろ園」と平成26年度に開設された療育支援センター「こあら」を視察。
この両施設視察のきっかけは、先の3/27富士市こども療育センター「みはら園」を視察した折に、富士宮市の視察を勧めらた経緯がある。その時、富士市の療育支援に対する取り組みは本当に素晴らしい学ぶべきものが多くあり、今回も期待しての視察であった。
「あすなろ園」は平成12年に現在地に新築移転。24年4/1から児童福祉法改正に基づく「児童発達支援センター」となる。
児童福祉法第43条:知的障害のある児童を日々保護者の下から通わせて、これを保護するとともに、日常生活における基本的な動作の指導・知識技能の付与及び集団生活への適応訓練の実施を目的とする施設とする。


午前中はあすなろ園
3歳から就学前までの児童が定員30名ピッタリ。
基本は3:1の保育で4クラス構成。
1クラス医療的ケア(経管栄養・痰吸引・導尿 等)の必要な児童3人を含む8名のクラスは看護師2人と保育士2人が付く。
16人職員体制=正規保育士6人+臨時(保育士6人+看護師2人+調理師2人)
因みに沼津市は4:1保育である。



保育士は経験の長い方が多く、療育についても研修を受けているという。
また、指導内容によって、段ボールでつくられたパーテションをうまく利用している。頻繁にその授業によって、狭くしたり広くしたりとカリキュラムによって空間設定を工夫することによって、子どもの集中力等に配慮している。
色も黄色から緑色の変更したのは自閉症には視覚的に落ち着くということから対応。なるべくいいと思うことはその都度取入れているというだけあって、色々の処に工夫がみられる。
この日は月1回の理学療法士PT(Physical Therapy)1名が午前中いた。他には月に1~2回作業療法士OT(Occupational Therapy)2名の同じ方が来て、継続的に関わっていける体制になっている。
日課 9:00(登園)~14:30(降園) サポート保育(8:30~9:00)&(14:30~17:00)
11:30からの食事は、クラスごとになっていてパーテションをすることで落ちつく子や席の位置でいろいろ工夫をしている。また医療ケアのクラスは別室での食事。
また、アレルギーの子の配慮はもちろんだが、好き嫌いのある子は、献立表にチャレンジできるもの(ピンク)食べられるもの(黄色)と家庭で色分けしてもらい、苦手なものでも一口ずつでも食べられるようになるための工夫をしている。利用料:サービス利用一割負担 給食費230円
この時期には、安定的に安心して過ごすことが、その後の集団生活につながっていくので此処では穏やかに過ごすことが大事だというだけあって、全体的におおらかな環境の中で子どもと接しているように見えるが、3:1の保育ではなく、その子に必要な支援をしていくには2.5:1の保育を望んでいきたいという。