山下ふみこオフィシャルブログ
財政問題
2022.10.31
鉄道高架事業費1034億円と工期延長 NO1
静岡県は7/12に「沼津市鉄道高架事業」の再評価調書を公表。
平成15年から19年ぶりの見直しによって増額された事業費は市債(借金)で賄うと新聞には書かれていたが、実際、市債を充てるには現状の市税等の一般財源が増加しないとほぼ不可能である。それを可能にするなら、事業期間を延伸し単年度予算を小さくすれば財政上可能だともいえる。
しかし、事業期間をこれ以上延伸すれば、B/C(費用対効果)1.1からさらに小さくなり、1.0を切れば事業価値がないことにつながる。
再評価では高架化事業を継続としたがその理由に納得できる市民がいるのだろうか?
その理由とは:人口減少・少子高齢化社会に備え、核となる事業であり、市が目指す「ウォーカブルでカーボンニュートラルなまちづくり」を実現するとともに、駅周辺の課題を解消する事業である。
ウォーカブル:車中心から”人中心”の空間へ。居心地がよく歩きたくなる
カーボンニュートラル:二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になること
---------R3年以降
----------沼津市負担の事業費内訳:419億円=一般財源42億円 + 市債336億円 + 市費42億円(未執行)---------
---------------沼津駅周辺総合整備事業1452億円のうちの市費419億円の90%は借金で賄う-----------
-------------------事業ごとの財源内訳---------------------
●事業費の見直し:鉄道高架事業費本体:787億円 → 1034億円 R2執行率4.5%
鉄道高架事業費R3以降の事業費:740億円+247億円増額 → 987億円
そのうち市負担分R3以降事業費:161億円+56億円増額 → 217億円(市負担)の内訳(一般財源22+市債195)
工期の見直し H15(2003)~R23年度(2041)完成 (当初計画より7年延伸)*
●鉄道高架関連事業(用地取得や道路・歩行者通路の整備)事業主体・沼津市:445億円 R2執行率43.1%
445億円内訳(国147億円+県2億円+市296億円(一般財源160+市債136)
→ R3以降の事業費253億円のうちの市費121億円の内訳(5+市債117)+国111億円(社会資本整備総合交付金他)
●土地区画整理事業費(高架化によってできる鉄道跡地利用により宅地増進ための区画整理)
事業主体・沼津市:294億円(R2執行率27.9%) →(R3年8月事業費の見直し294億円から288億円へ)
R3以降の事業費212億円のうちの市費81億円 +国89億円+県30億円
1034億円(見直し後)✙ 445億円 ✙ 294億円 = 総額 1773億円のうち市費419億円
R3以降の事業費 987億円+253億円+212億円=1452億円のうちの市費419億円
R3以降の市費
217億円(22+195市債)✙121億円(5+117市債)+81億円(15+市債24、+市費42億円(駅南第2未執行分)
R3年以降の沼津市事業費の内訳
419億円=一般財源42億円 + 市債336億円 + 市費42億円
7/15 沼津朝日新聞
↑ 7/15 毎日新聞
↓静岡県の再評価調書がHPへ
備考
〇まちなかウォーカブル推進事業【社会資本整備総合交付金・補助金】(R2新設)
・都市再生整備計画事業等において、車中心から人中心の空間へと転換するまちなかの歩ける範囲の区域において、街路・公園・広場の既存ストックの修復・利活用を重点的・一体的に支援する事業。
・事業主体 : 【交付金】市町村、市町村都市再生協議会等 【補助金】都道府県、民間事業者等
・国費率 : 50%
・市町村等が行う地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かした個性あふれるまちづくりを総合的に支援し、全国の都市の再生を効率的に推進することにより、地域住民の生活の質の向上と地域経済・社会の活性化を図ることを目的とする事業。
・事業主体 : 市町村、市町村都市再生協議会等
・国費率 : 40%(国の重要施策に適合する事業については45%)
・「立地適正化計画」に基づき、市町村や民間事業者等が行う一定期間内の都市機能や居住環境の向上に資する公共施設の誘導・整備、防災力強化の取組等に対し集中的な支援を行い、各都市が持続可能で強靭な都市構造へ再編を図ることを目的とする事業。
・事業主体 : 市町村、市町村都市再生協議会、民間事業者等
・国費率 : 50%(都市機能誘導区域内)、45%(居住誘導区域内等)
2022.10.20
令和3年度一般会計決算に反対
鉄道高架どころではない日本の厳しい社会経済状況がありながら、誰も現実を見ようとしない。
「木を見て森を見ず」とはまさしくこの事ではないでしょうか。
それでも鉄道高架を進めようとするなら、市民に対して犠牲にすべきものは何かを含めて、丁寧な説明が必要だという事を申し上げて令和3年度決算に反対しました。
この30年間の普通建設事業費と(投資的経費充当)一般財源の推移を見ていくと、その傾向が見えてくる、H1年度~R3年度までの33年間の推移
普通建設事業費(赤✙黄緑)は減少し、一般財源(赤)が減少した分、借金(青の折れ線)の割合が大きくなっている。
事業をもっとやりたくてもできないってこと!!
高架化関連事業費を含む普通建設事業=一般財源(主に市税や地方交付税)+借金+国・県補助金で構成。年度によって事業費は変わるが、全体的な傾向を見ると、次第に建設規模が減少している。バブル期の1/2まで縮小。
H1~H14年度:普通建設事業費(赤✙黄緑)は200億円~160億円
のうちの一般財源(赤)90億円~60億円
✙ 事業債(借金20~30%) ✙ 国県の交付金(事業費の30~50%)
H15~H24年度:普通建設事業費150億円~140億円のうちの一般財源60億円~50億円
+事業債(借金25~35%)+ 国県の交付金(事業費の30~50%)
H25~R2年度:普通建設事業費110億円~100億円 のうちの一般財源30億円
+事業債(借金35~40%)+ 国県の交付金(事業費の30~50%)
R3年度 :普通建設事業費 90億円のうちの一般財源24億円
+事業債(借金41%) + 国県の交付金(事業費の30~50%)
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H1~H14は建設事業規模は200~160億円だが、R3は90億円と事業規模は1/2まで縮小。
H1~H14は一般財源は建設事業の1/2の80億円まで充当できているのに、R3は20億円と1/4まで縮小。
ブルー線は事業債(借金)の建設事業費に占める割合は次第に増加。なぜなら、一般財源が充当できないからその代わりに借金で手当てをするしかない。でも借金返済は一般財源を充てる。そうなると、一般財源が増えない限り借金もできないので、事業規模を大きくすることはできない。
この状況は普通建設事業の硬直化。つまり、事業規模を今以上に大きくすることは不可能。
高架もやりたい、ごみ焼却場も耐用年数はとうに超え耐震化はできていない。庁舎も50年以上で老朽化が激しい。学校も同様。水道下水道の管等の更新、また昨今の大災害!!
大規模建設の老朽化更新はこれからが正念場です。事業規模はこれ以上市税収入があがらない限り大きくはできない。(高齢化と人口減少で納税者の減少)借金をするにも限界がある。
他市と違う沼津市の困難とは?
これから本格的に始まる鉄道高架事業はいずれ立ち行かなくなってしまう状況が、令和3年度決算に如実に表れていると思っている。
日本の老朽化対策をはじめ、高齢化、人口減少に向けて、日本の社会経済の厳しい状況の中で、生き残りをかけてどの自治体も政策転換を余儀なくされている。しかし、沼津市の場合は、これから巨大事業費の高架化を進めようとしている。時代は大きく変わったにもかかわらず、誰も現実を見ようとしない、誰も財政的に不可能だとは言わない。何が大丈夫なのか私には分からない。それでも鉄道高架を進めようとするなら犠牲にすべきものは何か?
市民への丁寧な説明が必要です!!
認第 19 号令和3年度一般会計歳入歳出決算において反対の立場から意見を言います。
令和3年度の決算の状況は歳入の根幹である市税収入は12億3500万円の減となった。
かたや普通交付税27億円で10億円の増や臨時財政対策債24億円で12億円の増、またふるさと納税が12億円と1年経たない中での7億円の増となったことは令和3年度の自主財源の確保として特徴的なことだと思う。
その中で臨時財政対策債だが赤字地方債とも言い、その年度の日常的な市民サービスの低下を招かないための借り入れであり、一般財源である。ここ10年間で最も大きな借入可能額である。毎年借り入れ可能額一杯に借り、市債に占める臨財債の割合は令和3年度38.%、前年度より18ポイントのアップ。この借入によって一般財源の根幹である市税の減少を穴埋めしているともいえる。借入可能額が後年度基準財政需要額として措置される。とはいっても地方交付税全体としては地財計画によって減ることもあるので、国が100%手当してくれるものではない。
沼津のように全額を借りる自治体と、一部しか借りない自治体、まったく借りない自治体がある。
後年度への負担の先送りになり安易に借り入れすべきではないと考える。
次に歳出で見ると、義務的経費の増の主な要因は扶助費の生活保護や児童の保育に要する経費が5億円の増。一般財源に占める義務的経費は45%を占め、ここ5,6年増加傾向が続いている。
その中でも扶助費は年々増加傾向にあり、75歳以上の高齢者は29.5%を超え、2025年には団塊世代が75歳以上をむかえさらに高齢化は進んでいく。
令和3年度の人口推移で懸念するのは、生産年齢人口が前年度の2%減に比べ、0歳から14歳までの児童が4%の減、人口減少率は年齢層が低ければ低いほどのその減少幅が大きくなっている。つまり更なる納税者人口が減少していくことにつながる。
次に普通建設事業費の動向を見たいと思う。普通建設事業129億円はこの9年間で最も大きな金額を占める。しかし、その普通建設事業費に占める一般財源の割合は、19%の24億円、前年度に比べ、7ポイントの減である。一般財源が占める割合がこれほどまでに小さくなった状況は平成1年に遡ってみても、19%にまで落ち込んだのは、令和3年度が初めてのことである。因みに高架事業が認可された平成18年では一般財源の占める割合は35%であり、令和3年度の4倍にもあたる。
高架事業費を始めとしたアセットマネジメント等の事業費が今後大きくならざるえない状況の中で、市税の伸び悩み等で一般財源の確保が難しく、普通建設事業費に充てる一般財源の充当率がここまで縮小するという事は、これまでになく厳しい現実が令和3年度に現れている。。
では一般財源の不足を借金で賄う事は、後年度に公債費が増加し、義務的経費のうちの社会保障費が今後さらに膨らんでくると、そのしわ寄せは普通建設事業の硬直化(事業規模を大きくしたくても大きくできない)を招くことにつながる。
次に普通建設事業費の中の高架化関連事業をみると、道路新設改良費、都市計画総務費、区画整理事業費、街路事業費これらの事業費合計は約12億円、一般財源が占める割合は14%。
この高架化関連事業もこの6年間ぐらいのスパンで見るとやはり一般財源は6年前の半分以下の充当率になっている。それとは反対に起債の占める割合ハ大きくなり、26.7%とこの起債充当率は、6年前の2倍以上となっている。
令和3年度の全体の普通建設事業費から高架化関連事業費の割合をみてみる。
普通建設事業費に占める高架化関連事業費は9%しかない。これまでは20%ぐらいを占めていたにもかかわらず、1ケタ台になってしまっている。これは令和3年度が、やるべき事業が少ないからという事もあるかもしれないが、この30年間の普通建設事業費や一般財源の推移を見ていくと、その傾向が見えてくる。令和3年度を踏まえて言えることは、今後、本格的に進めようとしている高架化関連事業は、他の事業を犠牲にしたうえでしか成り立たない事業であり、それを続けるられるかどうかは、少なくても市民に対する説明責任が問われてくる重大な問題だと思う。
昨今の地球温暖化による大規模災害にも備え、老朽化によるアセットマネジメントの取組、新中間処理施設や庁舎等の大規模事業も控え非常に厳しい財政運営をしていかなければならない。これは沼津市に限ったことではないかもしれませんが、沼津市が他の自治体と大きく違うのは、これから高架事業を進めていくからには、いずれ立ち行かなくなってしまう状況が、令和3年度決算に如実に表れていると私は思っています。高架化どころではない日本の厳しい社会経済状況がありながら、誰も現実を見ようとしない、それでも進めようとするなら、市民に対して犠牲にすべきものは何かも含めて、丁寧な説明が必要だという事を申し上げて令和3年度決算に反対します。
2022.01.27
日本の医師不足13万人
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【 Dr.本田はDr.ホンネ?! 医療制度を斬りまくる】
昨日の夜、本田宏さんを講師に、オンライン学習会を開催。
日本のスットコドッコイな医療縮小政策に、鋭くメスが入れられた。今やオミクロン蔓延で、感染者数はうなぎのぼり。
又も医療ひっ迫、保健所がパンクとやらで、PCR検査なし、症状の診断だけで感染者と判定するとか、
濃厚接触者には感染者本人から連絡するとか、信じられないような事態となった。
第5波が収まってから3か月間、何をしていたのか。
お粗末な実態を改善するのではなく、お粗末な実態に、国民を合わせようとする。
低きに合わせて、より低きになり下がる。
前置きが長くなり、すみません。
本田先生は、この期に及んでも「医師減らし路線」をひた走る国の政策を批判する。
お医者さんは足りてるって?
ジョーダンじゃない、OECDと比較して、約13万人も不足している。
しかも、来年度から、医学部定員を段階的に減らすと言うから、お立合い。医者を育てるには10年かかる。
その「卵」を減らしてどうするんだ!
「医者=お金持ち」という数式もくつがえされた。診療報酬改定が繰り返され、この30年間抑えられてきた。
日本はドイツの3分の1以下、アメリカの7分の1以下!逆に薬の値段は、日本はイギリスの2.2倍。
クスリメーカーの内部留保は増加の一途で、武田薬品はなんと
2兆2540億円(2012年度)。今はもっと増えている?
入ってくるお金(診療報酬)が少なくて、出て行くお金(薬剤購入)が増えていけば、どこも青息吐息。
ただでさえ大変な病院の中で、公立・公的病院はさらに一大事。
効率化の名のもとに、再編統合、つまり、閉鎖縮小する国の良からぬ目論見が、今なお続いているのだ。
本田さんのデータでわかる通り(下図)、コロナ感染者を最も受け入れているのが都立と公社病院。
大阪府が、府立病院など公的病院を、どんどん独立行政法人化した結果、コロナ禍で最悪の医療ひっ迫を招いたことを、忘れてはならない。
効率化しか頭にない「維新」が、医療ひっ迫をけん引したことも忘れてはならない。
本田さんは1時間半、日本の医療の問題点を熱く語ってくださった。
言い足りないことが山ほどあり、控えたダジャレも山ほどあり、
本当に中身の濃い学習会だった。
ここでは書き足りないことも多く、下の図表をぜひご覧ください。
2022.01.24
鉄道高架事業と財政問題 その2
「その1」で財政的な問題に少し触れた。改めて考えてみたい。平成29年3月に出された「沼津市公共施設マネジメント計画」。その時点での築年数が46年以上経過した施設が2割弱。
今後、中長期的な改修や更新をしていくための30年間の経費の見込みを示している。
今後30年間の維持管理・更新に係る経費は、約53億円/年で約2倍の経費がかかることになるがこれでは全くやっていけない。人口減少と高齢化で税収は落ち込んでも増加する見通しが厳しい中、限られた財源の中でこの差し迫った公共施設やインフラ施設の維持管理、更新をどうしていくのか、喫緊の課題に目をつむり、高架優先でやっていくならばそれも一つの選択肢だと思う。それを市民が望むならば・・・
2月からは令和4年度の予算審査も始まる。
今から10年後(2032年)と20年後(2042年)に更新のための大きな経費がかかってくる山がある。その山と鉄道高架事業は大きくかかわってくる。
つまり、耐用年数で大規模改修や更新をする場合の将来経費は、それだけでも自治体にとって大きな負担であり、施設削減により維持更新費や管理運営費の削減も図る計画をせざるえない。ある意味、学校統合問題もこの問題が大きい要素だと言える。
どの自治体も頭を抱えている公共施設やインフラ整備の老朽化に対して、昨今の災害の大きさを考えれば、喫緊の課題であるのは言うまでもないこと。
沼津市の場合、それにさらに1000億円以上の高架化事業を、投資的経費の減少とは裏腹に,改修や更新経費増大によって、更なる財政的な苦難が待ち受けている。いまだに工期の見通しがない高架化事業に、市民への説明責任を果たしていけるのだろうか。
市民の皆様は高架化事業はここまで進んでいるんだからという認識を持っていると思います。